2011年6月4日土曜日

鎮魂の白い花

上ヶ原キャンパスのあちこちにヤマボウシの白い花が咲いている。学生会館の中庭、G号館の前の植え込み、大学院棟の南側の道路沿い。濃い緑の葉に浮かぶように咲いた白い花は、見ているだけで心が落ち着く。
 春に咲き誇る桜のような豪華さはない。垣根を彩るツツジやサツキのようなにぎやかさもない。赤やピンク、黄色の絵の具が花開いたようなチューリップの鮮やかさもない。けれども、白く清らかなその花には、なぜか心が惹かれる。
理由はその白さにある。阪神大震災の後、この地で競うように白い花を植えた。震災で犠牲になられた肉親を悼み、友人、知人の冥福を祈るために白い花の咲く木を植えたのである。春、一番に咲くコブシやハクモクレン、白いハナミズキ。注意してみれば、街路樹にも庭先にも、そんな花がいっぱい植えられていることに気がつくだろう。
それが震災から10年、15年と歳月を重ねるごとに、美しい花を咲かせているのである。
白い花は鎮魂の花。それゆえに、その花を見る私たちの心も慰められ、なぜか気持ちが落ち着くのである。(石)