2011年5月23日月曜日

安らぎのかたち

旅先で目が覚めるようなまずい弁当に出会った。なにがまずいかって、もう説明できないくらいまずいのが悔しい。これだけまずいと、人間は哲学的になる。この弁当屋のおやじは観念を超越した実存主義者か。
それをある作家先生に話したら、ニコニコして「とっておきのまずいキツネうどん教えたげるわ」と店の地図をかいてくれた。過日くだんのうどん屋に行った。ひと口食べて思わずうなった。これは期待を裏切らない!「先生、絵にも描けないまずさでした」と報告すると、「うっほっほ」と相好を崩し、「君にしか教えてないから、誰にも言うたらあかんで」と釘を刺された。
先生の推薦は、ほかにも「世界一まずい稲荷ずし」と「この世のものとは思えないカレーライス」があるのだが、わたしにはまだ紹介してくれない。先生は仕事に疲れると、この3つを順繰りに食べまわるらしい。とてつもなくまずいものを食べて、なぜこんなものが作れるのだろう、と店の天井をにらんでため息をつくのが安らぎなんだとか。先生宅を辞去する際に「精進しいや」と言われた。なんかおかしいけど、まあいいか。(の)