2011年4月22日金曜日

芝生のある風景

 なぜか犬に愛される。といっても自分が飼っているわけではない。散歩しているよそのワンコなんか、必ずわたしの足元に寄ってきてしっぽを振る。ついでに飼い主の妙齢の女性ともお話できる。このささやかな僥倖を怨嗟されても、私の責任ではない。
モスクワに住んでいたとき、ライラックの香りと浅緑の芝生が美しい公園が近くにあった。この公園にたむろするあまたノラ犬にもわたしは愛された。わたしを見つけると一族郎党わさわさと寄ってくる。ベンチのまわりで一匹ずつ適当な名前をつけて遊んでいたら、ある日パトカーが2台もやって来た。怪しい外人に見られたらしい。狂犬病や破傷風にかかるから野犬に近づくな、と怒られた。それきりノラたちとのつながりは途切れた。
 陽光がふりそそぐキャンパスの中央芝生を歩くと、脈絡もなくモスクワのノラたちを思い出す。(の)